一般財団法人 英語教育協議会
ELEC(エレック)英語研修所
  1. 東京都立立川国際中等教育学校が附属小学校を設置

東京都立立川国際中等教育学校が附属小学校を設置

その他2019.08.07

 世界を舞台に活躍できるグローバル人材育成を目指し、 2022年度に開校を予定している都立小中高12年間一貫教育校は、公立で全国ではじめてとなる。2017年3月に設置された「都立小中高一貫教育校教育内容検討委員会」では、その教育内容について検討されてきた。東京都教育庁都立学校教育部教育改革推進担当課長の市村裕子氏より、構想のとりまとめについてお示しいただいた。

 

東京都立小中高一貫教育校の設置について


1 設置の検討経過 

東京都教育委員会は、平成25年4月、世界で活躍する人間を育成することを目指し、児童・生徒一人一人の資質や能力を最大限に引き出す新たな教育モデルを構築するため、都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会を設置した。平成27年11月、同委員会は、「都立小中高一貫教育校の設置に関する検討結果」において、都立小中高一貫教育校の基本的な構想を取りまとめた。

このことを受け、都教育委員会は、平成28年2月、「都立高校改革推進計画・新実施計画」において、東京都立立川国際中等教育学校に附属小学校を設置し、小中高一貫教育校として、国際色豊かな教育環境を整備することとした。

2 設置の基本的な枠組

 都立小中高一貫教育校の設置形態は、小学校及び中等教育学校とし、中等教育学校の後期課程は全日制課程普通科とする。学期は三学期制とし、学校規模は、小学校と中等教育学校を合わせて1,440人を想定している。小学校は各学年80人として、第1学年で80人の募集を行い、中等教育学校は、各学年160人として、中等教育学校の第1学年で  80人程度の募集を行う。その際、一般枠の児童・生徒とは別に特別枠を設け、海外帰国児童・生徒及び在京外国人児童・生徒を募集する。開校は、令和4年度を予定している。

3 教育理念等

(1)教育理念

  次代を担う児童・生徒一人一人の資質や能力を最大限に伸長させるとともに、豊かな国際感覚を養い、世界で活躍し貢献できる人間を育成する。

(2)教育方針

○ 自ら課題を認識し、論理的に考え、判断し、行動できる力を育てる。

○ 世界で通用する語学力を育み、それを支える言語能力を向上させる。

○ 日本の伝統・文化を理解し尊重するとともに、多様な価値観を受容し、主体的に国際社会に参画する力を育てる。

○ 異学年との学習活動や地域連携、国際交流を通じて、他者を思いやり、協働して新しい価値を創造する力を育てる。

(3)生徒の将来の姿

高い言語能力を活用して、世界の様々な人々と協働するとともに、論理的な思考力を用いて、諸課題を解決し、様々な分野で活躍する人材

4 教育課程

(1)基本的な考え方

  小学校から中等教育学校までの12年間を一体として捉え、児童・生徒の発達等に応じて適切な学習内容の配置及び指導を実践する柔軟な教育課程を編成する。

○ 児童・生徒の発達や行動を考慮した、小学校から中等教育学校までの教科の構成や学習内容の効果的な配置と体験活動の重視

○ 効果的な教育課程の編成により生み出す「探究の時間(仮称)」の有効的な活用

○ 論理的な思考力や表現力を鍛えるため、国語教育の重視

○ 高い語学力を身に付けさせるため、英語教育の重視

○ アイデンティティ確立のため、日本や世界の歴史の学習、日本の伝統・文化や異文化理解の学習の推進

○ 異学年交流、特別支援学校等他の学校との交流や国際交流、地域活動等による、多様な価値観の受容と社会参画意識の向上

○ 企業や大学等と連携した学習活動による、世界で活躍しようとする意欲の向上

【小学校】

○ 言語能力の向上と計算や観察・実験の基礎的な力の確実な定着

○ 早期からの系統的・継続的な語学教育の推進

○ 地域活動、ボランティア活動、異文化体験及び自然体験の重視

○ 少人数授業や習熟度別授業の効果的な実施

○ 高学年からの専門性の高い指導の段階的な導入と充実

【中等教育学校】

○ 後期課程の1年目において「探究の時間(仮称)」の設定(3か月程度を想定)

・国内や海外において、研究、留学、インターンシップ、ボランティア等の活動

・探究の時間に充てる他教科の授業時間の確保

○ 他の小学校から入学する生徒と附属小学校から進学する生徒との一体感の確立

○ 教育課程を工夫することなどにより無理なく留学できる環境を創出

(2)教育課程の特色

 ① 各段階で育てたい力

○ 小学校では、基礎学力の徹底的な定着と個々の児童の特性に応じた指導を行う。特に重点的に育成する力は、論理的に思考する力、身近な事柄について、外国語で簡単なやり取りができる力、身近な人々と協働することができる力、体験から課題を見いだす力である。

○ 中等教育学校では、幅広い教養を活用し、生徒自らが将来に向けて個性と能力を発揮できる指導を行う。特に重点的に育成する力は、批判的に吟味する力、幅広い話題について、外国語で明確かつ的確に考えを表現できる力、多様な人々と協働することができる力、体験を踏まえて省察する力である。

 ② 論理的思考力等の基盤となる言語能力を育成

 ○ 各教科等の学習を通じて、想像力、論理的思考力、批判的思考力、判断力、表現力等の基盤となる言語能力を育成する。

 ○ 小学校の第1学年及び第2学年では、国語や生活科を中心に、体験活動を大切にし、体験と言葉をつなぐ活動を重視する。

○ 第3学年及び第4学年では、国語や算数、理科を中心に、論理的に文章を読んだり考えたりする活動を重視する。

○ 第5学年及び第6学年では、国語や算数、理科を中心に、多面的に追究する力を重視する。

○ 中等教育学校の前期課程では、総合的な学習の時間を中心に、地域調査や文献調査を行ったり、大学や研究機関等の外部講師から指導・助言をもらったりしながら、生徒が探究したいことについて計画を立てられるようにし、探究活動の基礎的な力 を養う。

○ 中等教育学校の後期課程の1年目では、8月の夏季休業期間を含めた3か月間を、探究活動を行う期間とする。

○ 後期課程の2年目及び3年目では、探究したことについて、日本語と英語で論文をまとめ、発表し、言語能力を高める。

③ 語学力と言語能力の育成

○ 深い思考力に支えられた語学力を育み、卒業までに日本語と英語により自分の考えを口頭及び文章で明確に表現できる生徒を育成する。

 ○ 少人数や習熟度別による指導のほか、英語以外の教科の内容を英語で学習する内容言語統合型学習(CLIL)やICTを活用した交流活動等を効果的に導入する。

 ○ 小学校では、英語で考えや気持ちを伝え合う能力を育成する。第1学年から第3学年までは、自分に関することについて相手のサポートがあれば、ごく簡単な質問に答えることができる力などを育成する。第4学年から第6学年までは、日常生活の基本情報について英語で理解、説明できる力や相手の発話を理解できない場合などに必要に応じて聞き返したり、意味を確認したりできる力などを育成する。

○ 中等教育学校では、英語により幅広い話題について情報や考えなどを的確に理解したり、適切に伝えたりする能力を育成する。中等教育学校の第1学年から第2学年までは、身近な話題について、英語を用いて簡単な意見交換ができる力などを育成する。第3学年から第4学年までは、身近な話題や知識のある話題について、情報や意見を交換できる力などを育成する。第4学年から第6学年までは、知識のある時事問題や社会問題について、幅広い表現を用いて議論できる力などを育成する。

○ 小学校から第二外国語に触れる機会を設け、中等教育学校では第二外国語(フランス語、中国語、スペイン語等)を選択必履修として、英語以外の外国語を習得できる環境をつくり、語学力とそれを支える言語能力を育成する。

○ 授業時間は、毎日の短時間学習(モジュール)や土曜授業等により、小学校の第1学年から十分な時間を確保する。外国語に関わる授業時間数は、小学校で836時間、中等教育学校前期課程で840時間を予定している。

(参考)小学校学習指導要領(平成29年告示)における外国語及び外国語活動の標準授業時数は、それぞれ140時間及び70時間で合計210時間、中学校学習指導要領(平成29年告示)における外国語の標準時間は、   420時間

 ④ 道徳性の涵養

 ○ アイデンティティの確立とともに多様な価値観を受容する態度を育み、協働して新しい価値を創造する力を育てる。

 ○ 小学校では身近な事柄、中等教育学校では地域社会や国際社会を題材として、児童・生徒が主体的に考え、議論する授業などを行い、様々な人々と関係を構築できる力を育成する。

 ⑤ 体力の向上

 ○ グローバル化が進展する変化の激しい社会の中で、自立し健康に生活しながらたくましく生きるための体力を向上させる。例えば、休み時間等を活用した運動時間や、遠泳や遠距離徒歩大会などの学校行事を設定し、体力・運動能力を向上させる。

 ⑥ 学校行事の充実

 ○ 小中高一貫教育校の良さである小学校から中等教育学校まで12学年の異年齢集団や、東京都が平成30年9月に開設した東京都英語村「TOKYO GLOBAL GATEWAY」を活用した学校行事を充実させる。

 ○ 小学校から中等教育学校までの全学年合同による音楽祭やスピーチコンテスト、中等教育学校の生徒がリーダーとなって実施する語学キャンプや中等教育学校の生徒が運営する小学校の運動会、東京都の西多摩や島しょ地域の自然や施設を活用した宿泊体験などが考えられる。

なお、教職員等については、校長は、小学校と中等教育学校を兼務できる者を、副校長は、複数名配置することが望ましいと考えている。教職員は、小学校における教科担任制の導入や、英語の指導については、学級担任のほか、専科教員や外国人指導者、  JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)等の活用についても検討していく。

5 入学者決定方法等

 応募資格について、小学校は、児童の安全と健康に配慮し、例えば通学時間が一定の時間以内(50分程度)となる都内の区市町村名を明記するなど、第1学年の児童が通学可能と思われる地域を、通学区域として指定する。中等教育学校は、現行どおり、通学区域を指定せず、全都から応募可能とする。

 入学者決定方法は、第1次から第3次まで実施し決定する。第1次は、応募者が一定数を超えた場合のみ抽選を実施し、第2次は、第1次通過者を対象に適性検査を実施する。第2次では、学校が必要と考える一定の資質や能力を有する受検者全員を通過者とし、第3次では、第2次通過者を対象に抽選を実施して、入学者を決定する。中等教育学校については、現行どおり、出願者に対して適性検査を実施し、その結果に基づき入学者を決定する。 

 なお、附属小学校から中等教育学校への進学については、本人の日常の成績等を基に、学校が進学者を決定する。進学可能な人数の定員は設けない。

6 施設・設備

 小中高一貫教育校の特色を生かしながら、12年間の体系的で一貫した教育を効果的に展開できることを可能とする施設を整備する。特徴的な施設として、異学年での交流活動や小学校と中等教育学校の交流活動の拠点となる活動スペースとして、図書室・パソコン室・視聴覚室・自習室を一体化させたラーニング・コモンズ(仮称)や国際交流室等を予定している。

7 最後に

 本校は、公立では全国で初めてとなる小中高一貫教育校である。小学校から中等教育学校までの12年間という期間を最大限に活用して一体的な教育活動を展開することにより、児童・生徒の論理的思考力等を高め、豊かな国際感覚を養い、世界で活躍し貢献できる人間を育成していく。

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