一般財団法人 英語教育協議会
ELEC(エレック)英語研修所
  1. [ELEC出前研修報告書] 3.高知県立中村中学校・高等学校

[ELEC出前研修報告書]
3.高知県立中村中学校・高等学校

学校取組紹介2018.01.16
ELEC出前研修-実際の授業を踏まえた研修や指導助言、専門家が継続的に学校を訪問‐ELECでは2015年度より英語科教員の指導技術向上のために、求められる知識や技術を提供する「ELEC出前研修」(授業改善のための専門家派遣事業)を実施しています。英語教育の専門家(大学教授や教員研修指導経験者)が継続的に学校を訪問し、先生方の疑問・課題と実際の授業内容を踏まえた指導助言や研修を行っています。

高知県立中村中学校・高等学校では、2016年度から中学一年生で5ラウンドシステムを導入、中学二、三年生でもラウンド式を取り入れている。さらに、高等学校の授業方法も5ラウンドに近い授業スタイルに変更した。出前研修では、中村中学校・高等学校ならではのシステムを構築していくために、教員の授業力向上・英語科での授業方法の共有・システムの検証を進めている。


第1回目 2017年5月14日(日)                             

(1)研修内容

5ラウンドシステム導入の現状 (ビデオ)
・中学1年生、2年生の様子
・ビデオ検証・意見交換
・マイクロ・ティーチング
・質疑・応答・アドバイス等

(2)感想

 4月より新しい先生をお迎えして、中学2年生では5ラウンド2年目を迎えている。中学1年生でも新たに5ラウンドをスタートさせ、それぞれの授業の様子をビデオで検証した。中学2年生の様子が少しおとなしいということで、活動が活発になるコツ、また、生徒を乗せる方法についてご助言いただいた。
また、外部の高等学校より3名の先生方が参加してくださっており、5ラウンドの説明も加えながらの研修会となった。先生のキャラクターがクラスの雰囲気作りに大きく影響する点や、お互いコミュニケーションをとる中で理解が深まり、クラスの雰囲気が作られていくのだが、できるだけ多くの生徒たちをお互いに座席の列を変えながら、その中に教員が入ることで、授業内でインタビューテスト的なことができるといった斬新なアイディアをいただけた。
また、午後からは3ラウンドを行っている高等学校の先生にマイクロ・ティーチングを行なってもらい、ラウンド1を体験する研修とした。新しく参加された先生方も、ラウンド授業の展開方法を知ることができたと思う。興味を持っていただけた様子で、明日からの授業で早速行なってみたいとのお言葉をいただいた。毎日、あたり前のようにやっている中にも、新たな発見があったり、改善点を見出すことができたり、繰り返しマイクロ・ティーチングを行なうことの大切さを実感できた研修会となった。
「飽きさせない方法」については、同じパターンではなく少々負荷をかけたり、考えさせたり、活動に細かな変化を加えることで解消できるのではないかと提案いただいた。新しく頭に浮かんだ方法や、やってみて上手くいった方法などを共有していきたい。


第2回目 2017年度7月9日(日)                             

(1)研修内容

5ラウンドシステム導入の現状(ビデオ) 中学1年生、2年生、3年生の様子 / 3ラウンドシステムの現状(ビデオ)高校1年生
・ビデオ検証・意見交換
・マイクロ・ティーチング
・質疑・応答・アドバイス等

(2)感想

 午前中は、県立中村中学の1年生から3年生の授業の様子をビデオ検証した。
中学1,2,3年生ともラウンド3に差し掛かっており、Readingの授業展開となっている。生徒の習熟具合に差が生じ、暇な生徒が現れた場合、どのように手助けすればよいのかについて、また、困り感が強い生徒に関しては、ワークシートのレベルを分けるということも可能ではあるが、このラウンド性の特徴を生かし、ペアワークでヒントを出してあげ、ペアで助け合うという方法もあるという助言をいただいた。
 また、ラウンドの初めのオーラルイントロダクションについての意見交換の際に、「雑談を深堀する」方法もよいのかもしれないというお話があった。というのも、その方が、本当に興味があることを語り合うというリアルなシチュエーションであり、より深め合うことができるためである。また、英語で表現「できること」「できないこと」への気づきがさらに自分を成長させる可能性がある。
 その後「音」と「文字」の一致の話となり、やはり、最初に「音」そして、文字認識が大切で、単語テストやつづりの正確性を問うことよりも、自分で言いたい、書きたいと思ったことを表現していくほうがより自然であるし、英語を使えるレベルに達していける(自分のものにしていける)のではないかと感じた。
 また、リテリングさせる際には、本当に小さなことだが、自分の手でリテリングシートを持ってさせるのではなく、壁に貼っておくという手もあるということが発見であった。前年度よりもより声が大きく、わかりやすく表現できるようになってきていることから、毎回積み重ねてきたことが、自信に変わってきたと思われる。
 プロジェクトを始めた最初のころと比べて、不安げだった先生方の表情も徐々に変化し、ラウンドが定着してきていると感じる。


第3回目 2017年8月13日(日)                             

(1)研修内容

5ラウンドシステム ラウンド3のやり方
3ラウンドシステム ラウンド2のやり方
マイクロティーチング 3名
・Reading方法の共有
マイクロ・ティーチング 2名
・質疑・応答・アドバイス等

(2)感想

午前中は、ラウンド3での様々な読ませ方について学習しようということで、マイクロティーチングを3名の先生が行なった。香川県で行われた先生応援セミナーにて学習してきた方法を共有したいと考え、高校生向けに少しアレンジし、3名の先生で挑戦した。マイクロティーチング後に、協議をする中でReadingには2種類目的があり、ただReadingさせる回数を重ねる方法と、内容にフォーカスさせる方法があり、両者を分けて考えたほうが協議も深まるのではというご指摘を受けた。やはり、HowではなくHow muchであるというお話が大変興味深く、意味のあるReading方法を考え実践することが次のラウンドへの架け橋になることがわかった。
 話の中で、中学の5ラウンドと高校の3ラウンドの内容の整理をする必要があるとのご指摘を受け、改めて今までの活動を整理する必要があると感じた。先生方でお互いに参観授業等を通じて共有できていると感じているが、外部から見るといまひとつ理解が深まらないという部分があるため、整理して次回に発表したいと考えている。午後からは、実際の中学5ラウンドのラウンド3のマイクロティーチングを行った。講師の先生で今回が最後であったが、中学3年生の最後のユニットの内容で、議論も深まった。COLUMBUSの教科書がいかに次につながることを考えて作られているのかについて改めて実感した。また、教科書の使い方(深め方を)みんなで共有することで各先生の思考を刺激しているなと感じた。
 高校のラウンド2のマイクロティーチングは、中学の先生も参加することで中学生を育てるイメージ、さらには高校の先生が、直に入学してくるラウンドしか知らない中学生をイメージしながら授業を受けられたのではないかと思う。






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