一般財団法人 英語教育協議会
ELEC(エレック)英語研修所
  1. [ELEC出前研修報告書] 5. 山形県立新庄北高等学校

[ELEC出前研修報告書]
5. 山形県立新庄北高等学校

学校取組紹介2017.10.16
ELEC出前研修-実際の授業を踏まえた研修や指導助言、専門家が継続的に学校を訪問‐ELECでは2015年度より英語科教員の指導技術向上のために、求められる知識や技術を提供する「ELEC出前研修」(授業改善のための専門家派遣事業)を実施しています。英語教育の専門家(大学教授や教員研修指導経験者)が継続的に学校を訪問し、先生方の疑問・課題と実際の授業内容を踏まえた指導助言や研修を行っています。

 山形県立新庄北高等学校では、英語による発表機会を確保するため、コミュニケーション英語と英語表現Iを合科して、一人の教員が担当するという「新北モデル」方式を昨年度試行した。2年目となる今年度は合科方式を高1のみの実施から高1,2に拡大し、担当教員間で協議・検討を重ね、「新北モデル」のさらなる改善を試みている。

 

●第1回目 2017年5月31日(水)                      
(1)研修内容

○授業研究
 1年次:CORE LEARNING(strip story)について
 2年次:Story Retelling について
○協議
 ・29年度1年次・2年次の「合科」の取り組みについて
 ・Team Teachingに関すること
 ・教科書に関すること
(2)感想

「合科」の取り組み2年目がスタートするに当たり、新しく本校に赴任した教員がいることもあって、この時期に金谷先生を招き研修会を開くことができたことが、「合科」の目的を本校英語科全員で再確認する上で非常に有意義であった。コミュニケーション英語で指導したことを英語表現で発表活動につなげていく「合科」、また、発表活動の時間を確保するための「合科」という「新北モデル」を作っていくためには指導者間の認識のすり合わせやその中で出てきた様々な課題を解決していく必要があると認識できた研修であった。用いる教科書の難易度にも話題が及び、現在の教科書がはたして活動をするために適切な難易度なのかと考える機会になった。少し難易度を下げて活動のための教科書とするのか、読み物と割り切るのか現在も科内では議論中である。難易度を下げるにしても、ただ下げればいいということではなく、その状況でどのような活動を生徒にさせるのかが重要な部分になるということを指導していただいた。
今回は合科のスケジュールを確認したが、コミュニケーション英語の部分がどう発表活動に活かせているのかという部分は研修できなかったので、次回に向けて授業内容を整理するとともに、2回目の研修会までにビデオ等で記録を残しておかなければならない。また、今後は評価方法について、次期教育課程における指導についても話題にしていきたい。


● 第2回目 2017年8月4日(金)                      
(1)研修内容

①各レッスンでの音読活動などの負荷のかけ方、評価の仕方について
あっさり、こってりの見直し。新北モデルの精選に関すること
③合科2年目の成果の検証に関すること

(2)感想

 今年度第2回目は、1学期を終えたところでまた新たに出てきた課題や疑問点を英語科全体として共有し、金谷先生よりご指導いただきながら2学期以降の指導に生かせる有意義な研修会であった。
①音読には音声化音読と内在化音読があり、前者はすらすら言えることがいいが、後者は暗記ではなく考えながら読める方がいいと学んだ。その中で、音読の種類として、語形変化よりも句のまとまり、語順に重点を置き、負荷をかけるものの方がよいとご指導頂いた。これから音読活動を精選し、より効果的な活動にしていきたい。
文法問題演習では特に負荷が大切で、負荷がないものに時間をかけることはもったいないと気付かせて頂いた。むしろ、コミュニケーション英語の教科書を進めていく中で、既習の文法表現が出てくるたびに、以前に学習したレッスンに戻り、教科書というデータベースの中にある集めたデータをカテゴライズさせることで、じわじわと文法の基礎が身についてくると学んだ。
評価に関しては、細かな評価をしようとせず、生徒が使う語や表現など、以前との違い、成長を観察することが大切だと教えて頂いた。そのためにも普段の授業内で、生徒の活動や実態をより一層注視する必要がある、と改めて感じた。
また、練習を多くするために、教科書のshorter versionを作る案も出された。この点については、もう少し英語科で話し合い、共通認識を持って取り組んでいきたいと思う。
②新北モデルについては、あっさりとしたやり方を見直し、従来5時間充てていたところを完全になくし、その分をコアラーニングやこってりに回す方向でいく。中途半端に扱うよりもメリハリをつけることができるので良い案だと思う。
③合科の成果の検証については、結果ばかりを求めるのではなく、生徒の様子を観察し、気付いたことをメモしておくということを継続していきたい。それを踏まえ、新北の合科をより洗練されたモデルに仕上げていく必要あると感じた。いずれにせよ、根気強く継続しなければならないと思う。


あっさり、こってりとは・・・青森県立田名部高校が考案・実施している田名部モデルからの援用。レッスンによって扱い方に軽重をつけ、アウトプットの時間を生み出し、生徒の発表活動に充てる。
金谷憲(2015)「特集 私の「英語教育論」中学英語からの卒業~高校英語教育のTop Priority~」,『三省堂 高校英語教育』2015年夏号,pp.2-5
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