特集③「発信力のあるグローバル・ビジネス人材の育成」

2020.10.11

定森幸生

(ELEC監事、慶應・早稲田・McGill大学

ビジネス・スクール非常勤講師)

発信力の源泉は「気くばり」と「相互主義」

 筆者は、約40年にわたって、日本の総合商社のグローバル・ビジネスの現場で、50か国余りのビジネスのプロとの仕事経験を通じて、「自分よりも数段優れた多くのプロの心を動かす英語によるメッセージの発信力」の本質について、多くの学びと気づき (insights) を得る機会に恵まれました。


 日本語でも英語でも、ビジネス・コミュニケーションの究極の目的は、「相手の心を動かし、自分が相手に期待する言動を、相手が自らのモチベーションを高めながら実行に移す気にさせる影響力を発揮すること」です。その決め手になる条件は、ビジネスのプロである相手に対する敬意と信頼に基づいた「気くばり」を示す(demonstrate professional empathy)ことと、相手の自尊心を大切にする (acknowledge and maintain self-esteem)ことです。


 「気くばり」というと、一般には相手に緊張感や不快感を与えないよう、優しく遠慮がちなメッセージを発信することのように思われがちです。しかし、熾烈なグローバル市場競争のもとで鎬を削るビジネスのプロとのコミュニケーションで求められる「気くばり」とは、決してたわいのないslushy and soft なメッセージではありません。言うべきことは毅然と主張しながらも、そのメッセージの趣旨、案件の背景事情、自分と相手が置かれた社内外の立場やビジネス環境などのさまざまな脈絡(context)を正しく理解したうえで、自分(自社)はもちろん相手(取引先企業)が何を優先し、何を懸念し、何を回避しようとしているかについて、事前の入念な調査・分析に基づいた自分の認識を、プロである相手に適確に印象づけるメッセージであることが大前提となります。


 それをもとに、自社の利益を追求するだけでなく、相手側の立場や利益も尊重するWIN-WINの関係、すなわち相互主義(reciprocity)を念頭に置いて、プロとしての最大限の配慮を相手の心に響くメッセージとして発信する力を日々磨き続けることが大切です。そのことが、「相手を簡単に見捨てない」と同時に「相手からも簡単に見捨てられない」、持続する関係(stable and sustainable relationships)を構築・維持することになります。


 このことは、相手の国籍や生活文化圏や政治・経済・社会環境などに関わらず、また、企業内では製造販売などの収益部門か経営企画・人事・財務・会計・法務などの管理部門かに関わらず当てはまります。さらに、ビジネスの利害関係を離れた一般市井の人との関係においても、人間として本質的に共通するコミュニケーションの要諦だと言ってよいでしょう。


 筆者の本業は、企業のグローバル・ビジネス人材育成と人事管理戦略の樹立・実施であって、純粋な英語教育は本来専門外です。しかし、本業の傍ら、日本および北米のビジネススクール(MBAプログラム)や米国の人事労務研究教育組織・弁護士協会などの招きで、グローバル人事管理・人材育成、ビジネス関連法務・税務問題などの広範なテーマで度々出講する機会に恵まれてきました。なかでも、自身がMBAを取得した母校であるカナダのMcGill大学 MBAプログラムの人事管理(Human Resources Management)講座を5年にわたって担当しましたが、平均年齢約35歳、約30カ国の受講学生(大半が中間管理以上の実務経験者)らとの熱い英語での議論を通じて、グローバル・ビジネス人材の育成の重要性や、グローバル・ビジネスコミュニケーションの成否に直結する弛まない発信力向上の重要性について認識を深めることができました。


 本稿は、そのような現場経験をもとに、日本の次世代のグローバルリーダー育成における重要な問題意識や価値観を、日本の初等中等教育の現場での英語教育に携わる皆さんをはじめ、大学や企業での戦略的なビジネス・コミュニケーション研修やグローバル・リーダーシップ研修(English for specific purposes: ESP)の開発に携わる皆さん方のご参考に供する目的で書いたものです。


 初等中等教育に携わっておられる先生方の中には、「ビジネスでの発信力の話題は初等中等教育の現場には時期尚早で馴染まないのではないか」と疑問を感じる方がおられるかも知れません。しかし、ビジネス活動も、人や社会との関係性を尊重するそれ以外の多くの人間の営みと本質は変わりません。本稿に含まれたビジネスのテクニカルな側面の記述や描写については、コミュニケーションの場面設定上のシナリオ程度に受け止め、“人間力”としての共通点にフォーカスして頂けることを願っています。


「こと」 「こころ」 「ことば」 の三位一体

 グローバル・ビジネスコミュニケーションについて、筆者が日頃から大切にしている基本コンセプトがあります。慶応義塾大学や早稲田大学などの日本の大学でのビジネスコミュニケーション戦略の授業でも、学生の知的な発信力の幅を広げ、深みを増すことに焦点を絞った演習でも常に強調しています。そのコンセプトとは、相手の心に響き、相手の心を動かすメッセージは、

 ①    「こと(事柄・事実・言動)」

 ②    「こころ(意図・意欲・情熱)」

 ③    「ことば(語彙・表現・トーン)」

の“三位一体”で成り立つものという考え方です。


 この3つの要件は、この順番で検証していくことが大切なのです。メッセージのインパクトを最大限にするためには、①伝えたい事柄や相手に求める行動の内容と範囲を具体的に絞り込み、②相手に対する期待感の大きさやビジネスの当事者として自分自身の目標達成への強い意欲と真摯な情熱を確認したうえで、③それらを相手に確実に受け止めてもらえる成功確率の高い語彙・文法・用法・表現方法・トーンを検証することが必要です。


 ネイティヴ言語ではない英語でそのようなメッセージを発信する以上、相手にうまく伝わるかどうか不安になったりストレスを感じることは、筆者自身の長年のグローバル・ビジネスの現場経験からもよく判ります。だからと言って、英語の語彙や文法に心を奪われ、「ありきたりの」 「無難に通じそうな」英語の慣用表現を使うことだけで満足していては、言語的には正しくても(linguistic correctness)、常に相手側の立場や利益を尊重する相互主義(reciprocity)に基づいて、新たな価値を創出するビジネス・コミュニケーションとしての正しさ(correctness in business communication)は実現し難いでしょう。 


 簡単な例として、ある配送貨物のなかに、注文した製品のうち2つの製品が梱包漏れになっていることを指摘する場合のメッセージについて考えてみましょう。


 We cannot accept the delivery of the products because you failed to deliver two of the

 items we ordered as specified in our order sheet. Please send the remaining two products

 immediately in order for us to accept the delivery as contracted.

(配送された貨物には、弊社の発注書に記載された製品のうち2項目が梱包漏れとなっていたため、

  配送貨物を受理することは出来ません。弊社として契約通りこの貨物を受理するために、残る2つ

  の製品を至急送付ください。)


というメッセージは、ストレートでビジネスライクで簡潔な 「ことば(語彙・表現)」 という観点からは、検品で問題があったので受け取りを拒否する意思とその理由が明確に相手に伝わります。文法的にも問題はありません。しかし、現実のグローバル・ビジネスの世界では、必ずしも合格点は期待できません。舌足らずであるうえ、自分の利益や権利だけを主張するトーンには、プロとしての洗練度 (professional sophistication)が感じられません。


 今回の配送手配上のミスのような軽微な 「こと(事柄・事実)」 を口実に、この相手との取引関係の解消を検討する 「こころ(意図・意欲)」 があるのであれば、このメッセージでもよいかも知れません。それでも、センテンスのトーンは、ある意味で誰にでも起こりうる商取引上の軽微なミスを咎めるかのような、プロらしくない器量の狭さを相手に印象づけるリスクがあります。その結果、相手の方に 「この取引先との関係は解消しようか」 という 「こころ(意図・意欲)」 を生じさせるリスクも考えるべきでしょう。


 この状況 (context) のもとでは、プロであれば常識的に、「一刻も早く梱包漏れの製品を相手から発送してもらって、今回発注したすべての製品に基づいて予定していたビジネス活動を早期に実行する」 「事務処理ミスのような比較的軽微な事象を必要以上に責めるような狭量な印象を与えない」 「取引先との信頼関係を損なうリスクのあるトーンは避ける」 というような 「こころ(意図・意欲・情熱)」 を抱くのが当然です。そのような 「こころ(意図・意欲・情熱)」 を具現化するための 「ことば(語彙・表現・トーン)」 をプロらしく慎重に選んで推敲したメッセージの例として、次のような表現やトーンが考えられます。


 We have enjoyed successful business with your company for over 12 years and have

 always been impressed by your outstanding services until today. On checking the products

 delivered yesterday, however, we were unpleasantly surprised to discover that two items

 listed on your packing list have not been included in this shipment. I understand this could

 occur sometimes due to an oversight on the part of your shipping unit. I trust that you will

 deliver the missing items promptly so that we may proceed with the final stage of our

 office renovation.

 (貴社との12年を超えるお取引には満足しており、今日までの貴社の傑出したサービスの高さには

 いつも感心しております。しかし、昨日配送頂いた貨物のうち、貴社の梱包明細書に記載されている2項

 目の製品が梱包されていないことに気づきました。このようなことは過去に一度もありませんでし

 たので、率直に驚いています。発送手配中に事務的なミスが生じることは偶にあることは理解して

 おります。弊社のオフィス改修を最終段階に進められるよう早急に欠品項目の配送をお願いいたし

 ます。)


 「12年超におよぶ素晴らしいサービスに感謝し満足している事実」 「梱包漏れは過去12年間に一度もなかった事実」 に言及することで、相手は 「プライドにかけても早期に問題を解決したい」 という気持ちになるでしょう。たとえ相手に落ち度がある場合でも、その内容が比較的軽微なミスであれば、「苦情の前に相手の自尊心を高める」アプローチが、早期のトラブル解決に対する相手のモチベーションを高めることを促します。


安易な「形容詞や副詞任せ」から卒業する

 ビジネス活動に限らず一般の社会生活においても、相手に対する自分の気持ちや感情を率直かつ洗練された言葉で発信する際に大切なことがあります。それは、抽象的で、さまざまなcontext において誰でもが“安直に”使える形容詞や副詞に頼りっきりにしないことです。相手に対する自分の気持ちを繋ぐものは、形容詞や副詞ではなく、相手の自分に対する個別具体的な言動、すなわち 「こと(事柄・事実・言動)」 です。そして、その 「こと」 の実態が something special or unusual であることが大切になります。しかがって、自分に対する相手の言動に強く心を動かされたのであれば、発信するメッセージの中では、具体的な 「こと(事柄・事実・言動)」 に言及すべきです。そのうえで、具体的に何がどの程度のインパクトを自分に与えたのかを表現することが、相手に対する 「気配り」 の本質です。


 例えば、社内の会議に出席するため東京から初めて出張したロンドンで、慌ただしい会議のスケジュールを調整して、わざわざ自分のために歴史的なLondonの名所や穴場を効率よく案内してくださった、ロンドンオフィスの同僚の厚意に対するお礼のメッセージの発信方法を考えてみましょう。


 Dear Mark,

 

 I want to thank Kathy and you for making my first business trip to the London area a

 pleasant one.  To be shown around by two native Londoners gave me a view of the

 historic city I would never have gotten by seeing London on my own.


 I hope to reciprocate when you have a chance to be in Tokyo next year.


 Please give my best regards to all of your staff, who made excellent arrangements to make

 our meeting run smoothly.  Thanks again to both of you for a most pleasant three days.


 Kind regards,


 (マークさん、先日は、あなたとキャシーさんのご厚意のおかげで、私にとって初めてのロンドン出

 張を快適に過ごさせて頂き有り難うございました。地元の方に案内して頂かなければ、自分一人で

 は到底訪れることの出来ない歴史的な場所を効率よく見学することができ、大変感激しました。来

 年東京に来られる機会があれば、今度は私が地元をご案内したいと思います。

 会議の準備や進行に入念に力を尽くしてくださったスタッフの皆さんにもよろしくお伝えくださ

 い。お二人には、有意義な3日間の滞在を経験させて頂き、改めてお礼を申し上げます。)


 よくある社内の人に宛てたお礼状ですが、形容詞や副詞を多用するThank you so very much for your time and courtesy to~や、 I was extremely impressed by and grateful for your excellent hospitality という表現では新鮮味がなかったり、わざとらしかったりで、自分の真心がストレートには伝わりません。何がどのように嬉しかったのかを簡潔かつ強いインパクトで発信するには、a view of the historic city I would never have gotten by seeing London on my own 「(初めてのロンドンなので、お二人のような地元の方の助けがなければ)自分一人では到底できない経験をさせて頂いて感謝感激です」というように、仮定法過去完了を使うと、相手に対する気配りとして効果があります。「日本に来られることがあれば是非お返しをしたい(ほど感謝している)」という一言を加えることは、公私に関係なく、人間同士のreciprocity を大切にしている自分のモットーを印象づけるうえで効果的です。


 Markさんや Kathy さんの部下のroutine duty の代表例である meeting arrangements に対しても、わざわざ労いの気持ちをメッセージに含めることは、自分の心の余裕や包容力を印象づけることができ、プロとしての人間力の一端を相手に感じさせるうえでも大切なことです。相手の心を動かす発信力の向上にためには、プロとしてのハードスキル(専門知識、職歴、学歴、英語の運用能力など)も大切ですが、トータルの人間力(理念、価値観、行動原理の体現など)を育み鍛えることはそれ以上に大切です。つまり、ハードスキルは “prerequisite” であり、ソフトスキルが発信力向上競争における優位性の源泉(source of competitive edge)ということになります。

 

発信力とは詳細まで正確に文書化できる能力

 ビジネス・コミュニケーション能力のなかで最も重要な能力は、自分が関与する案件の細部に至るまで正確に文書で発信できる能力です。社内では、新規案件を提案し経営幹部の承認を得て予算を獲得する際に稟議書が必要になります。そのなかで、提案の趣旨や具体的な事業活動、提携企業と競合企業との関係性、利益計画、競争条件やリスク管理、撤退条件などの詳細を文書化することが必須条件です。

 社外との関係では、取引先や公的機関などとの間で締結する契約書を、顧問弁護士や社内の法務担当部署の協力を得ながら、最終的には担当部署の関係者の責任で当事者間の権利や義務について正確に文書化する必要があります。重要な契約書の条項のなかには、日本でも海外でも、「完全合意(Entire Agreement)」と銘打った条項が含まれます。この条項では概ね次のような記述が共通して含まれます。


 This Agreement constitutes the entire agreement between the parties and supersedes any

 prior or contemporaneous written or oral agreements, negotiations, promises,  

 arrangements, representations and understandings between the parties concerning the

 subject matter hereof.

 (本契約は、両当事者間のすべての合意を網羅しており、本契約の主題に関する両当事者間の本契約

 の締結前または締結時における書面または口頭による合意、交渉、約束、取決め、表明および了解

 に優先する。)


 分かりやすい例では、契約締結の直前、または、極端な場合は署名の最中に、納入業者が口頭で

「売れ残った分は返品してもいいですよ」と譲歩した事実があったとしても、そのことが契約書に

文書化されていないかぎり、実際に売れ残りが生じた場合、「あの時あなたが売れ残りは返品してもいいと言ったから返品する」と無条件では言えないということです。この考え方は、口頭証拠排除原則(Parol Evidence Rule)と呼ばれる英米法体系の概念ですが、日本でも ITビジネスを中心にグローバル・ビジネスでは一般に浸透しています。


 したがって、グローバル・ビジネスの現場では、どれだけ流暢に“口八丁手八丁”で相手を説得できたとしても、最終的には書面によって 「こと(事柄・事実・言動)」や 「こころ(意図・意欲・情熱)」を発信できなければ、価値のある仕事をしたことにはならないという厳しい現実があるのです。ビジネスでの発信力を論じる際、日本の教育界や産業界ではややもすると、スピーキング能力(プレゼンテーションやグループ・ディスカッションの形式面など)を偏重しがちですが、ライティング能力の巧拙がビジネスの成否を左右することも忘れてはなりません。つまり、スピーキングは “prerequisite” であり、ライティングは発信力向上競争における優位性の源泉(source of competitive edge)ということです。

 筆者がカナダの母校のMBAの授業を担当した経験から確信したことですが、ケーススタディのために提出させた事前課題のレポート(毎回 2000~3000 words 程度)の完成度が高い学生ほど、ネイティヴかノンネイティヴに関係なく、口頭でのclass participation での発信力が明らかに優れているということです。多くを書きながら推敲を重ねる過程で、「こと」 「こころ」 「ことば」 の三位一体が確立できることの証左でしょう。 


Speak as you write. Write as you speak.

 発信力を習得・強化する場合に注意すべきことが二つあります。ひとつは、グローバル・ビジネスの現場では、「話し言葉」と「書き言葉」の垣根が急速に低くなり、「話すように書く。書くように話す。(Speak as you write. Write as you speak.)」の原則が浸透していることです。

 この原則が要求しているのは、①ビジネス・トークの重要な場面で使われるセンテンスは、(ブロークンではなく)完全な文を構成(主語、述語動詞、動詞の時制、目的語、補語などを明確に)すること、スラングなど特定の国や言語文化を理解してないと適切な理解が期待でき難い言葉を避けることなどです。② Emailはもとより、企画書や提案書などの文書についても、音読しても違和感を感じないくらい“目にも耳にも優しい(eye-friendly and ear-friendly)”言葉を選ぶことです。音読するのが難しい言葉は読む場合でもすんなり頭に入りにくいうえに、抽象名詞などが多いと現実的な状況認識が難しくなるからです。

 もうひとつ注意すべきことは、過去半世紀の間に、英国・米国の政府機関が発行する法律文書を含む公文書を中心に、平易な英語(Plain English)を使うことが定着していることです。英語を母語とする両国が提唱するこの“英語改革運動”は、民間のビジネス文書作成においても、同様の対応を求めています。英語のノンネイティヴ移民の増加や教育機会の格差の拡大などの影響もあって、英語の読み書きの理解度のバラツキが心配されるからです。

 本稿ではこの問題を詳述することができませんが、この問題の趣旨や具体的な対応策を、ビジネスの観点から端的に解説した文献として、米国証券取引委員会(Securities Exchange Commission: SEC)の A Plain English Handbook – How to create clear SEC disclosure documents https://www.sec.gov/pdf/handbook.pdf) を紹介しておきます。9ページ以降の Know Your Audience や、17以降ページのWriting in Plain English は、本稿の趣旨と重なるコンセプトが多く見られると思います。


 米国証券取引委員会(SEC)は、米国の証券取引所に上場している世界中の企業に毎年SEC Reportという年次事業報告書(日本の有価証券報告書に該当)の提出を義務づけています。専門的で複雑な容を正確に報告(虚偽申告は不実記載として処罰対象)しなければなりませんが、一方で、専門性を隠れ簔に、難解で解釈に幅がある語彙を多用すると一般の投資家の正確な理解を妨げるリスクが生じ、公益に反するという問題意識があります。

 グローバル・ビジネスに従事する中核レベル以上の人材(俗称business executives)の約75%(実数では10数億人)は英語のノンネイティヴであると言われています。日本の現在および将来のビジネス・リーダーが世界で活躍する際に求められる英語の発信力のあるべき姿を常に検証し、同じノンネイティヴと優位性を競いながら切磋琢磨するのを支援する(産学共同の)人材育成基盤を整備・強化することは急務と言えるでしょう。そのミッション遂行に関係する方々にとって、本稿が僅かでも参考になることができれば望外の喜びです。


参考文献

定森幸生.(2018)『人を動かす英文ビジネスEメールの書き方』ダイヤモンド社

(さだもり ゆきお)