ELEC出前研修 -実際の授業を踏まえた研修や指導助言、専門家が継続的に学校を訪問‐ ELECでは2015年度より英語科教員の指導技術向上のために、求められる知識や技術を提供する「ELEC出前研修」(授業改善のための専門家派遣事業)を実施しています。英語教育の専門家(大学教授や教員研修指導経験者)が継続的に学校を訪問し、先生方の疑問・課題と実際の授業内容を踏まえた指導助言や研修を行っています。 |
埼玉県立不動岡高等学校では今年度『不動Bridge』と称し、高校1年生に対して中学英語の定着のためにブリッジ期間を設けている。高校1年生の1学期中間テストまでは高校教材に入らず、熊谷女子高等学校などで考案されたCore Learning(コアラ)を集中的に行なっている。以下に学校からの報告書を掲載する。
●第1回目 2017年5月11日(木)
(1)研修内容
1. 1年生初期のブリッジの活動の実施報告と金谷先生からの助言
・コミュニケーション英語ⅠでStrip Stories(10回程度)
・英語表現ⅠでLoud Speaker(7回程度)
・活動で不明な点の確認
2. その他
・他学年の取り組みへの助言
(2)感想
昨年度計画したように、ブリッジ活動が順調に行われている報告が1学年の担当の先生からあった。コアラ(コア・ラーニング)の教材は熊谷女子高等学校の先生からいただくことで、4月からまとまった時間活動が実施できているとの報告を受けた。当初の計画通り、中間考査(5月末)までのブリッジ活動はうまくいっているということだが、教科書の導入に入る際に、単語先渡しをして、教材の負荷を減らすことで、中高ギャップを埋められることがあるのではないかという話になった。次回は授業のビデオを実際に視聴することが決まった。
第2回目 2017年7月14日(金)
(1)研修内容
1. 1年生の授業映像視聴
(Loud Speakerの活動の様子)
2. 1年生の初期の考査試験問題(定期考査を持参して検証)
3. 夏休みの課題、サイドリーダーの多読
・1人10冊夏休みにサイドリーダーを購入し、2学期以降は回し読みする。
4. 1年生の今後の可能な活動等
(2)感想
実際の1年生初期の基礎力定着の活動の様子を授業の映像を見て議論した。1つは、ラウドスピーカーにおける活動のゴール、ヒントの出し方、回数等の具体的な内容を確認する議論があった。金谷先生より、今後の活動に生かしていける貴重な助言を多くいただいた。2つ目に、考査では何を問うのかという話が大きな議題になった。習ったことを出すのか、新出のものを出すのか等の議論もあった。授業での活動はリスニングとスピーキングで行われるが、考査ではリスニングとライティング(記述)で問う形式であった。また、問題単語前渡しの教科書教材の指導にも話題は及び、具体的な方策についての議論が多くされた。
第3回目 2017年9月1日(金)
(1)研修内容
1.来年度のブリッジ活動の提案
◎新学年の指導の流れ
・ディクトグロス・ディクトコンポ
・表現活動
・量をどう担保するか
・教科書のLeading InのStrip Stories
・処理速度を上げる(ブリッジの役割は…)
・生徒のニーズは
・基本的なプロダクション(中学レベル)ができないというのがスタート
・話したことを3分間で書く
・音声面を重視する
・WPM200くらいを目指す
北部5校の研修会への参加の報告
(2)感想
実際に今年度1年生がブリッジ活動から、教科書に移行する時期に行った活動について議論した。次年度1年生ではどんな活動をしていくかをブレーンストーミングして、次回に向けて継続審議していくことになった。1年生のブリッジ活動の成果は担当の先生方は実感している一方、実施する教材の精選をする必要がありそうだとうことであった。
第4回目 2017年11月20日(月)
(1)研修内容
1.新1学年の中高ブリッジ活動、使用教材案の再提案
・教材「英会話ぜったい音読」
2.ブリッジの後にやること、教科書を使った授業への移行への工夫
・現1年はリテリング、パフォーマンステスト等を取り入れている
3.定期試験の在り方、形式
・時間制限を設ける、差をつけることではなくやった活動のまとめをする
・30分程度の試験のほうがよい、長すぎると集中力は続かない
4.全般
・手持ちの教材を繰り返しやることの重要性
・ブリッジの効果を数値化するのはなかなか難しい、やるならば外部委託するほうがよい(必要ないかもしれない)。
・単語先渡しの活動はやっていくべきか?
(2)感想
今年度の1年生が行った活動を引き継ぐことと、教材の精査、定期考査の内容の工夫についての具体的な内容に関する有意義な議論となった。基礎力の必要性に関しては教員間でのコンセンサスが取れていることと、運用面での活発な議論が交わされたことがよかったと思う。ブッリジ活動の継続をしていくなかで、考査との兼ね合い、コミュニケーション英語の教科書に移行してからも、スピーキングとリスニングを補強する活動をしていけるのかという話もあった。
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