一般財団法人 英語教育協議会
ELEC(エレック)英語研修所
  1. 授与式・特別講演(受賞結果)

授与式・特別講演の模様

2017年度 第3回ELEC英語教育賞授与式が開催されました。

 2018年3月17日(土)コンフォール安田ビル(千代田区神田)にて、「ELEC英語教育賞授与式・特別講演」が開催されました。多くの教育、企業関係者にご参加いただき、懇親会を含め大変盛況のうちに幕を閉じました。選考委員(5名)による複数回の審査を重ね、「文部科学大臣賞」と「ELEC理事長賞」を決定いたしました。今年度より、「ELEC理事長賞」の対象を小学校へも広げ、結果として小学校2校が受賞いたしました。特別講演では、法政大学の田中優子総長をお招きし、日本の教育・文化の両面から大変興味深いご講演を賜りました。

文部科学
大臣賞
茨城県立竹園高等学校
「検定教科書を活用したディベート活動を通して英語の発信力を育成する取り組み」
取組内容 関連資料
ELEC
理事長賞
岩手県紫波町立日詰小学校
「コミュニケーション能力を身に付けた次代を担う人材の育成
~小中高等学校をとおしての英語教育の抜本的充実に向けた、小学校英語教育の先進的な取組の試行及びその成果・課題の検証
取組内容

京都教育大学附属桃山小学校
「英語コミュニケーション能力」の向上のための5領域の系統的指導を目指した外国語活動の拡充及び外国語科の創設
取組内容

受賞校講評 (松本茂 選考委員)

 文部科学大臣賞を受賞された茨城県立竹園高等学校の皆様、おめでとうございます。取り組み名は「検定教科書を活用したディベート活動を通して英語の発信力を育成する取り組み」です。
竹園高校は、生徒が英語で討論することで、思考力、判断力、表現力を高め、結果として英語を学べるという指導に以前から果敢に取り組んでおられました。
ディベート活動は、上手に取り入れると多くの成果をもたらしますが、通常の授業における指導内容とディベート活動の関連づけが希薄であるケースがまま見られます。竹園高校の場合は、「CAN-DOリスト」をベースに検定教科書を活用しつつ、本格的なディベート活動に至るまでの活動の手順が確立されている点が高く評価されています。その実践内容は、全国のさまざまな学校への普遍的な波及効果が期待されると審査員一同感じております。
 活動の手順は、ウォームアップとミニプレゼンテーション活動などから、クエスチョンメーキングやサマリーメーキングなどの活動、そしてミニディベート活動などへと、スモールステップを踏んで流れていて、生徒が無理なく、主体的に学ぶことができる指導計画になっている点が高く評価されました。担当する先生全員が、クラスは違えども、基本的に同じ内容、同じ活動、同じ評価で指導している点がすばらしいと思います。学外からの問い合わせが増えると思いますが、気持ちよく受け入れていただき、普及についても力を注いでいただければと思います。
 なお、小生は長い年月にわたり同校のアドバイザーを務めている関係上、今回の文科大臣賞の選考には直接関わっていないことをつけ加えておきます。
 
 ELEC理事長賞は、今回2校の表彰が決まりました。

1校目は、岩手県紫波町立日詰小学校です。同校の取り組み名は、「コミュニケーション能力を身に付けた次代を担う人材の育成 ~小中高等学校をとおしての英語教育の抜本的充実に向けた、小学校英語教育の先進的な取組の試行及びその成果・課題の検証」です。
 日詰小学校の取り組みは、都会とは違う地域において、外国語活動とはこうあるべきだというモデルを提示してくださったと思います。外国語活動をうまく活用して,地域全体で子どもを育てることを実行されている点がよいと思います。
 特に、児童が伝えたい思いを大切にして、新しい英語表現を用いる必然性のある場面を設定している点などが高く評価されております。児童の顔を見ながら、ゆったりと授業を進めている様子から、個々の先生たちの授業力が非常に高いと感じとることができました。読み聞かせ活動についても、児童たちと英語で気持ちを通わせながら進めていることなどがすばらしい点だと思います。
 評価についても、小中高を視野に入れて、一貫したCAN-DOリストの作成・ルーブリックの提示をとおして、児童・生徒の間で目標について可視化、共有化している点、それによって、心が通う授業が展開されている点がすばらしいと思います。この小学校を巣立つ生徒は、中学、そして高校でちゃんと育ってくれるだろう、大きく羽ばたいていってくれるだろうと思っております。

ELEC理事長賞の2校目は、京都教育大学附属桃山小学校です。取り組み名は、「「英語コミュニケーション能力」の向上のための5領域の系統的指導を目指した外国語活動の拡充及び外国語科の創設」です。
新学習指導要領では、3年次から外国語活動、5年次から教科としての外国語「英語」となりますが、まさしくそれを先取りした、研究校らしい取り組みだと思います。明確に定められたCAN-DOリストと、よく練られた指導案をもとに、児童たちの潜在的な能力を上手に引き出していると思います。5、6年生は、指導がなかなか難しい学年で、知的発達度に合わせた英語活動を展開するのは簡単ではないのですが、こちらの学校は、学年が進むにつれて、英語での活動の内容が無理なく高度化されている点がすばらしいと思いました。DVDを見ていて、児童たちの発達度合いが、学年ごとに進化していくのがよくわかりました。
 最終段階で、自分の思いや考えを伝えるプレゼンテーションという課題で、児童たちが生き生きと自分の意見を発表しており、中学生、高校生のレベルに達しているような印象を受けたというコメントを述べる審査員もいるくらい、すばらしかったです。
3年次から外国語活動を始めることについては、さまざまな議論がありますが、3年次から桃山小学校のようにやっていくと、6年生にはこのレベルに達するのかと、元気づけられる研究内容でした。今後は英語教育の先進校として、パフォーマンス評価などについて、これまで以上にご研究を進めていただければと思います。
 
 最後に、改めて3校の関係者の皆様方のご努力に対して、敬意を表するとともに、ますますのご発展をお祈りいたします。

受賞校代表者のコメント

茨城県立竹園高等学校(代表者 植木明美教諭)

 本日は、栄えある文部科学大臣賞を受賞できましたことを大変光栄に存じます。まだまだ未熟な取り組みではございますが、このような形でお認めいただけたことに、深く感動しております。
 私が勤務しております茨城県立竹園高等学校は、生徒の英語コミュニケーション能力の育成を目指し、以前より「ACEプログラム」という独自の英語教育に全校を挙げて取り組んでまいりました。ACEとは、Approach to Communicative Englishの頭文字をとったものです。今回応募した「検定教科書を活用したディベート活動を通して英語の発信力を育成する取り組み」は「ACEプログラム」の中核をなす部分です。生徒たちは、2年生になると全員授業の中で競技ディベートを体験することになっています。今回はディベート活動のさらなる充実を目指し、検定教科書のレッスンを再構築して、競技ディベートで必要であると思われるスキルを習得するような活動をとりまとめました。相手を理解する力、論理的思考力、批判的思考力、そして協働する力を生徒たちが育めたらと思い、ディベート活動の中でグループワークやペアワーク、リサーチなどを3年間積み上げてきました。この対話的な活動が、将来生徒たちのコミュニケーション力や発信力を支えてくれると確信しております。
 最後になりますが、この「ACEプログラム」を継続、発展させていくに当たり、15年間の長きにわたり、私たち英語教員を温かくご指導くださいました松本茂先生に感謝いたします。ありがとうございました。

岩手県紫波町立日詰小学校(代表者 伊東雅美校長)

 本日は、このような賞をいただき、大変ありがとうございます。  過日、パフォーマンス評価の手伝いに、私も行ってまいりました。この評価は、何度でもチャレンジOKの評価で、いくつかのセッションを子どもたちがめぐります。子どもたちは全員、評価は一発クリアしましたが、その後もうれしそうに何度もやってきては私との対話を楽しんでおりました。私自身も、その対話に心をときめかせ、そのとき強く感じた思いは、「ECSG」です。Eye Contact、Clear Voice、Smile、Gestureのイニシャルですが、「ECSG」が私たちの目指すコミュニケーション能力を身につけた次代を担う人材、すなわち、人、事柄、社会や未来に期待を持って向き合う子どもたちの育成基盤になるということでした。
 私たちは、8年間を見通したCAN-DO型の学習到達目標を作成しました。カリキュラムマネジメントとして、15分のモジュール活動を取り入れ、子どものモチベーションとスキルを漆塗りのように、薄く、回数を多く重ねてまいりました。また、やりとりとその内容に心ときめくような活動と自己肯定感を高揚させるための評価を心がけてまいりました。
 その結果、学年が進むにつれて、子どもたちのアンケートの「英語が好き」な率が増しました。今年度、中学校1年生でさらにアンケートをとったところ、その率がさらに上がっておりました。研究主任三浦をはじめとする本校の職員、文部科学省の外国語教育教科地域拠点事業を受けて連携してきた赤石小学校、古館小学校、紫波第一中学校、紫波総合高校の実践の確かさを改めて喜び、関係各位のご指導、ご協力に深く感謝いたします。期待を持って、いろいろな出会いに向き合い、かかわりながら、ともに道を切り開く子どもたちの育成に、外国語を通して今後とも努めてまいります。本日はまことにありがとうございました。

京都教育大学附属桃山小学校(代表者 山川拓教諭)

 本日は、このような賞をいただきまして本当にありがとうございます。本校は京都教育大学附属学校として、近接する附属桃山中学校、附属高等学校と3校で、文部科学省の外国語教育教科地域拠点事業指定を受け、4年間、ともに研究してまいりました。高校を卒業するときに、英語を使って海外の人たちと進んでやりとりができるような子どもにするためには、小学校でどのような力を身につけることが必要なのか、またどういう授業が望ましいのか検討を進めてまいりました。
 その中で、小学校、中学校、高等学校と、一貫した学習到達目標を設定することができました。特に小学校では、子どもたちの発達段階を踏まえ、歌やゲーム、絵本の学びから、さまざまなコミュニケーション活動、そして新学習指導要領で高学年から導入される、読むことや、書くことを踏まえた5つの領域を統合的に学ぶという方法について、授業実践を行いました。コミュニケーションや、プレゼンテーション活動を行う中で、子どもたちが、英語を使ったコミュニケーションで、友だちのことがさらにわかったという言葉や、自分の思いや考えを、もっと英語で発信していきたいという言葉がさまざま上がるようになってきました。そういう思いが徐々に高まってきたと実感いたしております。
 私たちの研究のゴールは、今の小学生が高校を卒業するときだと思っています。これからも附属桃山中学校、附属高等学校と手を取りながら、子どもたちの英語運用能力の高まりをみとっていきたいと思っております。本当にありがとうございました。

ご来賓の祝辞(文部科学省初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室 金城太一 室長)

 本日、受賞されました3校の先生方、誠におめでとうございます。また、ここにお集まりの各地域や学校で外国語教育を推進されている皆様方にも、日頃のご努力に対し御礼を申し上げます。主催のELECにおかれても、本事業や、教員対象の研修事業など、英語教育の充実のためにご尽力いただいておりますことに感謝申し上げます。
 まず、昨今の外国語教育改革の動向ですが、小学校から大学入試まで、外国語教育について報道されない日がないくらい、世間の関心が高い状況でございます。文部科学省では昨年3月に、小・中学校の学習指導要領の改訂を行いました。外国語教育については、さらなる改善・充実を図るため、小学校の高学年で取り組まれていた外国語活動を中学年に早期化し、高学年では教科化いたします。小学校での新教科導入は、平成元年改定の生活科以来、実に30年ぶりとなります。
 2017年3月に小中学校の新学習指導要領が公示され、同年7月には、移行期間中の教育課程の取り扱いについてもお示しいたしました。また、中学校では、互いの考えや気持ちなどを外国語で伝え合うという対話的な言語活動を重視することに合わせ、授業は外国語で行うことを基本とすることを、学習指導要領上にも位置づけてございます。高等学校については、今年度中に学習指導要領を改訂いたしますが、「聞く・話す・読む・書く」といった言語活動や、これらを結びつけた統合的な言語活動を通し、5つの領域を総合的に扱うことを一層重視する必履修科目を設定するとともに、「話す・書く」を中心とした発信力を強化するための統合的な言語活動を通して、スピーチやプレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなどを扱う選択科目を設定することにしております。
 今回の学習指導要領の目玉は、各学校段階の学びを接続するために、国際的な基準を参考に、小・中・高等学校で一貫した5つの領域別の目標を設定することです。さらに並行して検討が進められている高大接続改革では、2020年度に実施される大学入学者選抜から、英語においては、「聞く・読む・話す・書く」の4技能を適切に評価するために、外部の資格検定試験を活用する新たな枠組みがスタートいたします。月末には、その資格団体の公表がございます。
 現場の関心の高い小学校の外国語教育につきましては、2020年度の新しい学習指導要領の円滑な実施に向け、子どもたちが質の高い外国語教育を受けられるようにするために、環境整備が不可欠です。そのために効果的な新教材の開発、また、研修・養成・採用の一体的な改善の必要性を認識しております。そのため、小学校中学年、高学年の移行措置、先行実施に対応するために、新教材『We Can!』『Let’s Try!』を開発いたしました。教師用の指導書、デジタル教材なども、希望する全ての小学校に配布することにしています。
 全ての子どもたちに、新しい指導要領をしっかりお届けすることが私たちのミッションだと思っています。また、各地域で、指導的な立場となる英語教育推進リーダーを養成するとともに、各学校で、指導の中核となる教員に研修を行っています。中学校の英語の免許状を有するなど、一定の英語力を有し、質の高い英語教育を行うことができる専科指導教員の確保を図るために、今年度予算案で1,000名の教員定数の改善を計上しております。
 さて、本日受賞されました3校の取り組みにつきまして、私も文部科学省の教科調査官から、日本をリードする外国語教育に熱心に取り組まれていると伺っております。
 大臣賞を受賞された茨城県立竹園高等学校は、ディベートに関して先進的な取り組みを進められており、今年度の国立教育政策研究所の実践研究協力校として、新学習指導要領に資する実践材料をご提供いただいていると聞いています。
 ELEC理事長賞を受賞されました学校のうち、岩手県の紫波町立日詰小学校については、外国語教育教科拠点事業の拠点校として、高学年でのモジュール活動の導入や小中高一貫のCAN-DO型の学習到達目標に基づく実践などに注力いただいております。
 京都教育大学附属桃山小学校についても、同じ拠点事業の拠点校として、低学年からの外国語活動や、高学年での外国語科の新設、新規独自教材の開発、また、新教材『We Can!』の実践を通じて、ご尽力を賜っていると聞いています。
 この3校の受賞校は、新しい学習指導要領が目指す外国語でコミュニケーションをはかる資質、能力を育成するために、実践に先導的に取り組んでいる点で共通性があると考えています。ディベートに力を入れている竹園高校では、今回、5領域の中の1つに位置づけた、「話すこと(やり取り)」の活動を重視して取り組んでおられますし、日詰小学校は、CAN-DOリストの作成により、質・能力の定着をしっかりみとる取り組みをしておられます。また、京都教育大学附属桃山小学校では、プレゼンテーションを重視して、5領域の1つに位置づけた「話すこと(発表)」の活動に熱心に取り組んでおられます。
 本授賞式を機に、学校のさらなる授業改善に役立てていただくのはもちろんのこと、地域の各学校のモデルとして、取り組みの成果を広げていただきたいと考えています。3校の関係者の皆様におかれましては、新学習指導要領で示されている新しい指導の方向性に沿って、ますますの英語教育の充実に、ご理解とご支援をいただきたいと考えております。
 終わりに、この授賞式を一層の弾みにしまして、我が国の英語教育が、今後さらに前進し、多くの若者の未来を支える力になりますよう、心からお祈りを申し上げまして、私からの挨拶といたします。誠におめでとうございます。

特別講演

「あなたは英語で何を伝える?-日本を表現する教育の大切さ」
 田中 優子 氏 (法政大学総長)

 女性初の法政大学総長として、また多くのメディアでもご活躍中の田中優子氏をお招きしました。「あなたは英語で何を伝える?」というテーマを軸に、江戸時代におけるグローバリゼーションの在り方、文化的・政治的構造の二重性(デュアルスタンダード)、あるいは、近代における教育の実際などについてお話をいただきました。多くの参加者からの感想として「とても新鮮な内容であった」「自身の啓蒙につながった」「日本について再認識する良い機会となった」など好評を博し、日本の教育や文化について改めて考えさせられる大変貴重な機会となりました。

講演内容

(文責 教員研修部)

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