一般財団法人 英語教育協議会
ELEC(エレック)英語研修所
  1. 授与式・特別講演(受賞結果)

授与式・特別講演の模様

2018年度 第4回ELEC英語教育賞授与式が開催されました。

 2019年3月9日(土)コンフォール安田ビル(千代田区神田)にて、「ELEC英語教育賞授与式・特別講演」が開催されました。多くの教育、企業関係者にご列席いただき、懇親会を含め大変盛況のうちに幕を閉じました。特別講演では、立教大学の松本茂教授をお招きし、英語教育の成果と課題についてご講演を賜りました。

文部科学
大臣賞
広島県立広島中学校・広島高等学校
「協働的な学びを通じた発信活動の試み」
取組内容
ELEC
理事長賞
本年度は該当なし

受賞校講評 (吉田研作 選考委員長)


 今回受賞となりました広島県立広島中学校・広島高等学校様、本当におめでとうございます。私ども審査員の中で、貴校の取り組みは最も優れていると全員一致して決まりました。
 もともと広島高等学校はスーパーグローバルハイスクールの指定校で、持続可能な社会の構築に貢献できるグローバルリーダーの育成に取り組んでおられます。グローバルコースを中心としてやっておられると思いますが、授業風景の映像資料を見させていただき、それ以外のコースにも巻き込んだ成果を上げており、全校のまとまった取り組みとして評価いたしました。
 さらに、貴校だけにとどまらず、県内のほかの学校にも取り組みを広げていく努力を盛んにやっておられる点も大切な点だと思います。それぞれの学校には優れた先生がおられて熱心な活動をされていますが、それを広げていく力、学校としての力がすばらしいと感じました。
 ELEC英語教育賞にご応募いただいた取り組み名は「協働的な学びを通じた発信活動の試み」ということでしたが、映像資料では、生徒が活発に中身のある議論しているのが印象的でした。思考力・判断力・表現力を実践している様子がよくわかりましたし、スタンダードコースの生徒にもコミュニケーションしようとする姿勢が波及しているのが感じ取れました。発信活動を中心にやっておられますが、スピーキングでもルーブリックをつくり、それを適用・検証して、研修を行いながら他校にも情報発信をしている点も審査委員から高い評価を得たところです。
 これからの英語教育の新しい形が徐々に見えつつあります。広島高等学校はそれを先取りしてやっておられるので、さらに発展させてより素晴らしいものにしていっていただき、この活動を全国的に広げていただくと良いと思います。このたびは誠におめでとうございます。


受賞校代表者のコメント


広島県立広島中学校・広島高等学校(代表者 山崎愛子教諭)

 広島県立広島中学校・広島高等学校の山崎愛子と申します。本日はこのような賞をいただくことができ、大変光栄に思います。本校は県立初の中高一貫教育校として15年前に設立されました。中学校から言葉の教育を重視し、日本語と英語両方による議論やディベートなどの取り組みを行っており、平成27年度からはスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受け、持続可能な社会の構築に貢献できるグローバルリーダーの育成を研究テーマとし、高い志を持ち、国内外の異なる文化的背景を持つ人々と協働し、新たな価値を創造するための資質、能力の育成に向けて学校全体で様々な取り組みを行ってきました。
 外国語科においては、本校が考えるグローバルリーダーに必要なコンピテンシーとして、英語力を習得させるため、指導法や評価方法の研究・開発に取り組んでまいりました。
 2、3年次ではクラスをグローバルコースとスタンダードコースに分けて編成しています。とりわけグローバルコースの生徒は、学校設定科目であるグローバルエクスプレッションという科目を通じ世界の諸問題について学習を深めていきます。様々なトピックについて、生徒がどこか遠くの世界で起きている「他人事」ではなく、学習内容を身近な問題としてとらえ、「自分事」として考えていくために、ディスカッションやリサーチ、プレゼンテーション等を行い、多角的、多面的に考えることができるような学習内容を考えてまいりました。
 しかし、この点につきましてはまだまだ発展途上の段階でございます。いわゆる「用意した答え」ではない答えを生徒から引き出し、それらをもとに議論を深めていくという点については、まだまだ不十分なところがあります。指導者である私たちが、生徒とともに学び、授業改善や教材研究が必要だと感じております。
 また本年度は、SGHに関わる取り組みを、グローバルコースの生徒だけでなく、スタンダードコースの生徒の指導にどう還元していくかを検討し、外国語科全体で授業を構成し、授業改善を進めてきました。
 具体的には、グローバルエクスプレッション以外のコミュニケーション英語の授業において、生徒が主体的に向き合う発問や活動を工夫し、コースの違いにかかわらず、生徒の習熟度に応じた評価を心がけてきました。また、2年次にグローバルコースの生徒は英語ディベートに取り組むのですが、その橋渡しとして1年生全員がコミュニケーション英語1でディベートを2回行うよう計画し、実施を始めたところです。また、2年生のスタンダードコースの英語表現2の授業においても、即興型のディベートに取り組んでいます。
 こうした活動を通じて、生徒が英語による表現力だけではなく、コミュニケーション能力や批判的思考力、他者との協働力を身につけ、様々な人との出会いを通じ、より良い未来を切り開くグローバルリーダー、そしてリーダーを支えるサポーターに、様々な場面で活躍してもらうことを期待し、私たちも努力していきたいと思っております。


ご来賓の祝辞(文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 外国語教育推進室 小野賢志 室長)

 2018年度ELEC英語教育賞授与式の開催にあたりまして一言お祝いの言葉を申し上げます。はじめに、本日文部科学大臣賞を受賞されました広島県立広島中学校・広島高等学校の関係者様にお祝いを申し上げます。また、主催者であるELECの関係者の皆様におかれましては、英語教育の充実のために長年に渡り積極的な取り組みをされておられることに、この場を借りて改めて敬意を表したいと思います。
 今日グローバル化が進み、社会の変化が一層加速し、人口構造の変化、国境を越えた人の流れ、一部の仕事や地域の人に限らず、あらゆる人に外国語でコミュニケーションを図る力が求められる時代になってきました。こうした時代にあって、文部科学省では小学校、中学校、高等学校の学習指導要領を改訂し、2020年以降順次新しい学習指導要領に基づく外国語教育がスタートすることになりました。
 この学習指導要領の方向性を決めた中央教育審議会では、先ほど講評いただいた吉田研作先生に主査を、この後講演をいただく松本茂先生に主査代理をお願いし、特に高等学校の部分でご指導をいただきました。
 学習指導要領の改訂や外国語科だけではなく、全体として何を教えるかという、教育の内容や量よりも前に、これからの子どもたちが活躍していく2030年、2040年という社会を考えながら、学校教育を通じて何ができるようになるか、各教科の学びを通じて何ができることを目指すか、という目標から議論をスタートしました。
 今回の学習指導要領では、初めて前文というメッセージが示されています。この中では、学習指導要領の目指す教育の姿として、一人一人の児童生徒が自分の良さや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値ある存在として尊重し、多様な人々と共同しながら、様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会の作り手となることができるようにすることを目指すこととしています。異なる言語や文化を持つ多様な相手とコミュニケーションを図る力を育てていく外国語教育は、このあるべき姿に貢献する大きなものであると考えています。
 「協働的な学びを通した発信活動の試み」をテーマとされました広島県立広島中学校・広島高等学校の取り組みが本日の賞を受賞されたことは、大きな意義があると考えます。
広島県の教育委員会におかれましては、貴校の創設とほぼ同じ時期から、県をあげて言葉の教育に取り組んでおられると伺いました。広島中学校では教育課程として「ことば科」を設置し、広島高等学校では最終学年に卒業研究を設置し、その過程で日本語、英語両方で論理的な言語運用能力を育てる取り組みをされてこられたと伺っています。
 各都道府県で中学校・高等学校の一貫教育制度を作った時に懸念されたのは、県立のエリート校をつくるものであってはいけないということでした。単なる受験エリート校をつくるのではなく、その県の教育をよりよくしていくためのフラッグシップとしての学校をつくっていくことが中高一貫教育の制度のねらいでありました。
 貴校は、広島県内の教育を引っ張っていくリーディングスクールとしての役割を果たしてこられたと思います。この取り組みは、広島県内はもとより文部科学省も大きな参考とさせていただいております。
 現行の学習指導要領では、教科を横断して言語活動の充実に重点を置くことを打ち出しています。このことはまさに貴校において先んじて取り組んでこられたことと思います。今回の学習指導要領の改訂にあたりましても、中央教育審議会教育課程分会の中で2017年3月に貴校の取り組みの事例発表をいただいており、改訂の示唆をいただきました。
 新学習指導要領では小学校中学年から外国語学習が始まりますが、単に学習時期を前倒しするものではなく、国語における言葉の学習と相互に関連させながら、発達段階に応じた言語能力を育てるねらいがあります。高等学校では、聞く、読む、話す、書く、4つの力を総合的にはぐくむカリキュラム群だけではなく、ディベートやディスカッションを通して、論理的に発信できる能力を高める新しい科目群として、「論理・表現」を設定しました。新学習指導要領に基づく実践を各学校で取り組んでいただくにあたりまして、貴校の取り組みは大変参考になるのではないかと思います。
 吉田先生の講評にもありましたパフォーマンス評価ですが、ややもすると「あの学校は進学校だから」「あの学校はスーパーグローバルハイスクールだから」と言われることもあるかもしれませんが、6年間を通して英語科だけではなくて学校全体で英語を使って何ができるようになることを目指すのか、どのような生徒を育てたいのかという目標、あるいは学校としてのミッションを明確にされ、共通の意識を持たれたからこそできたことと考えています。
 これは決して特別な学校の特別な取り組みではなくて、すべての学校でそれぞれのミッションを明確にし、どのような子どもたちを育てたいのか、そのためにどのような教育をしてどのような評価をしていくのかを考えていただく上で参考としていただきたいと思います。
 今年度応募されながら残念ながら受賞に至らなかった各学校におかれましても、それぞれの学校の児童生徒の実態に応じて、様々な取り組みを工夫されていると思います。各学校の先生方の日々の研鑽、より良い教育を目指した実践は、世界に誇る我が国の教育の財産であると考えております。
 文部科学省といたしましても、各学校の実践を学ばせていただきながら、より良い実践をより広く周知したいと思います。また、将来の学習指導要領や国の政策の中に活かしていくために勉強させていただきたいと思います。
 最後に、ELEC英語教育賞の受賞を一層の励みに、我が国の英語教育がさらに前進し、多くの若者の未来を支える力となりますことを心から祈念いたしまして私からの挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。

特別講演

「英語教育の改善 —成果と課題—」
 松本 茂 氏(立教大学教授)

 現在の英語教育界に多大なる貢献をされていらっしゃるお一人である、立教大学の松本茂氏をお招きしました。英語教育の改善がどこまで進み、どのような施策が成果を挙げてきたかを指摘されたのと同時に、それぞれの教育段階で、今後さらに改善すべき課題について言及されました。列席者から「大変参考になった」という声が多く聞かれました。また、多くの教育関係者にとって刺激となる幅広い視点からの教育現場への提言がなされました。

講演内容につきましては近日中にアップデートする予定でございます。

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